【3Dプリント用データ】Blenderで3Dプリント用データを作る手順|CGモデルを印刷できる形に仕上げる設計とは?
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「Blenderでモデルは作れる。でも、それを実際に印刷するには何をどう直せばいいの?」
🐾この記事でわかること
- CGモデルと印刷用モデルの「設計思想の違い」6つ
- Blenderでの具体的な作業手順(厚み付け・チェック・書き出し)
- はめ合う部品のクリアランス、最小肉厚など、失敗しない実寸の目安

前回は『なぜそのままでは印刷できないか』の話。今日は『じゃあどう直すか』の実践よ!

やっと手を動かす工程だな。
前提の話は概念編で▼

CGと印刷は「設計思想」が違う?
CGの種類は様々。モーショングラフィックスもあれば、イラスト、アニメーションなど。これら2次元の成果物に対して、印刷用モデルは「物理的に成り立つ設計」が大切。今回は、3Dプリント用のCGデータ作りについて、具体的な制作のポイントをまとめました。
1. 表面ではなく「塊」として設計する

CGは表面(シェル)さえあれば成立が、3D印刷は違う。肉厚・充填・重心を持った塊として設計する必要があります。

薄すぎる壁は印刷できないからな。
FDM方式(家庭用の主流)なら、最小肉厚1.2〜1.6mm以上を目安に。
ノズル径0.4mmの機種で、壁が0.4mm未満だとそもそも樹脂が乗らないんだよな。穴も同様で、最小穴径2.0〜3.0mmを下回ると潰れてしまうからな。
2. 重力と接地を考慮する

CGには存在しない概念です。実物は倒れます。
✅ 自立するか:細い脚のキャラクター、頭が大きいフィギュアは自重で倒れる。台座を付ける、重心を下げる設計を
✅ どの面を下にして印刷するか:接地面が広いほど安定する。逆に接地面が小さいと、印刷中に剥がれて失敗する
✅ 積層の向きは強度に直結する:層と層の境目が一番弱い。折れてほしくない方向に層が来ないよう、印刷の向きから逆算して設計する
3. 分割と組み立てを前提にする

✅ 造形サイズを超える大きな物 → 分割して接着
✅ 複雑なオーバーハング(宙に張り出した部分)→ 分けて印刷すればサポート材が要らなくなる
✅ 可動させたいフィギュアの関節 → 別パーツにして後で組む
一体で印刷できない物は、最初からパーツに割って設計します。
分割面は、目立たない位置・平らな面に置くのがコツ。接着はシアノアクリレート(瞬間接着剤)か2液性エポキシが定番です。

うむ、CGなら一体でいい物も、印刷では分けたほうがいいケースが多い。
4. 公差(クリアランス)を必ず入れよう
CG出身者が最も見落とすのがこれです。 はめ合う部品を「ピッタリ同じ寸法」で作ると、現実では絶対にはまりません。

FDM方式には「造形太り」があり、設計値より少し太く出力されるためです。実務的な目安はこうなります。
| 片側クリアランス | 感触 |
|---|---|
| 0.1mm | かなりギリギリ。はまらない可能性あり |
| 0.2mm | 少し引っ掛かりながらはまる(基本値) |
| 0.3mm | 確実にはまる |
| 0.4mm | 緩すぎることがある |
迷ったら片側0.2mm。円筒をはめるなら、直径では0.4mm(両側分)の差をつけることになります。大きめ・肉厚な部品は0.4mm程度に広げます。

コツとしては、蓋の全周を一定の隙間で作らないこと。接触させる面は4〜8箇所に絞り、他は0.5mm程度に広く逃がしておくと、調整が楽ね。

最終的には、自分のプリンターのクセを数値化するのが一番かも?
例えば、0.1〜0.4mmの隙間を変えたテストピースを一度印刷しておいて、それに沿って設計するとか。
5. 色は「パーツ分け」でしか表現できない
CGのテクスチャやマテリアルは、印刷には持っていけません。基本は単色です。

色分けする場合、色ごとにパーツを分けて、それぞれ別のフィラメントで印刷して組み立てるという工程になります。
フルカラーのCGモデルをそのまま多色出力とはいかない、と理解しておきましょう。

塗装するなら、塗りやすい形状・分割かどうかも設計段階で考えておくとベターだよな。
6. 後処理が前提の設計にしよう
印刷したものは、サポート材を外した跡が残り、積層痕が見えます。
なので、
- サポート跡が目立つ面は、削りやすい平面にしておく
- 見せたい面が下向き(サポートが付く側)にならない向きを想定して設計
- ヤスリがけできない狭い凹みを作らない


印刷用モデリングは削って仕上げるまでを含めて設計すればいいのね。こういうモデル作成でよく使われる文具も集めてみたわ。
Blenderでの実作業|5ステップ
ここからは、実際の手順です。Blenderで作成する場合を例に見ていきましょう。
ステップ1:単位を実寸に設定する

シーンの単位を「1単位=1mm」相当に設定します。この設定を最初にやっておくと、後で全部のサイズを直すことにはなりません。実寸で作る癖をつけましょう。
ステップ2:Solidifyで厚みを付ける

面だけのモデル、薄い殻のモデルには、Solidify(ソリッド化)モディファイアで厚みを与えます。前述の通り1.2〜1.6mm以上が目安。細部は特に注意して、薄くなりすぎていないか確認します。
ステップ3:3D Print Toolboxでエラーチェック
Blender標準同梱のアドオン 3D Print Toolbox を有効化します(プリファレンス → アドオンから)。実質必須の工程です。

3D Print Toolboxでチェックできる主な項目は次の通りです。

- Non-manifold(非多様体):面が閉じていない、辺が3枚以上の面で共有されている等
- Thin faces(薄すぎる面):印刷できない厚みの箇所
- Overhang(オーバーハング):サポートが必要な角度の面
- Intersect faces(自己交差):面同士が突き抜けている箇所

エラーが出たら、この時点で修正できれば問題ないわね!
ステップ4:スケールを適用する(最重要)
CG勢が最もはまりやすい部分です。
Blenderでオブジェクトを拡大縮小したとき、見た目のサイズは変わっても、内部のスケール情報が変更前のまま残ることがあります。この状態で書き出すと、スライサーでサイズがずれます。

書き出し前に必ず、オブジェクトを選択して Command + A → スケール で変形を確定させます。「Blenderでは正しいサイズなのに、印刷したら巨大化/極小化した」というもったいない事故を防ぎましょう。
ステップ5:STLで書き出す

ファイル → エクスポート → STL。

STLはモデルの表面を三角形の集合として記録する形式だから、色やマテリアル情報は含まない。3Dプリントでは形状が主役だからこれで十分かな。

単位がmmになっているか、選択オブジェクトのみを書き出す設定になっているか確認ね。
チェックリスト|印刷前の最終確認
印刷前に、この項目を確認してください。
- 単位は実寸(mm)になっているか
- 最小肉厚1.2mm以上を確保しているか
- 最小穴径2.0mm以上あるか
- はめ合う部分に片側0.2mm以上のクリアランスがあるか
- 3D Print Toolboxでエラーがゼロか
- スケールを適用したか(Command + A)
- 自立するか、倒れないか
- サポート跡が目立つ面に来ていないか
まとめ|CGスキルは、そのまま武器になる
- CGは「表面」、印刷は「塊」。この転換が大事!
- 公差(片側0.2mm) と 最小肉厚(1.2mm以上) の2つの数字を念頭に制作するべし
- Blenderでは 3D Print Toolbox と スケール適用(Command + A) が必須工程
- 自分のプリンターのクセをテストピースで数値化すれば、精度は一気に上がる!

設計方法の違いを理解すれば、モデリング技術はそのまま立体制作に活きます。画面の中の造形力を、現実の物体に転換していきましょう。
※本記事の数値は一般的なFDM方式の目安です。機種・フィラメント・設定により最適値は変わるため、テスト印刷での確認をおすすめします。
お読みいただきありがとうございました!
