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【ジャケ写ウケ】シティポップが世界に届いた|楽曲だけじゃない、印象に残る理由

woman in green jacket standing beside books
mono

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🐱本日のお悩み

「シティポップが海外で流行ってるって聞くけど、なんで40年以上前の日本の曲が今さら世界でウケてるの?」

🐾 この記事を読むとわかること

  • ヴェイパーウェイヴからTikTokまで、世界に広がった経緯が年表でわかる
  • 永井博と鈴木英人、2人のジャケットの違いが見分けられるようになる
  • 当時の配色が、なぜ今のサムネイルでも通用するのかがわかる
ねねこ
ねねこ

シティポップが海外でバズってるって聞くけど、なんで40年も前の日本の曲が今なの?

ねここ
ねここ

それがさ、音だけの話じゃないかもしれないんだよなー。

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シティポップ大流行の流れ

1979年に発売された松原みきのデビュー曲「真夜中のドア〜Stay With Me」は、2026年7月20日の発表時点で、Spotifyの累計再生回数が5億回を超えました。日本の楽曲としては10曲目、1900年代にリリースされた日本の曲では初めての記録です。

ねねこ
ねねこ

他のアーティストとしては、藤井風、YOASOBI、Teriyaki Boyz、米津玄師、LiSA..などなどお馴染みのメンツがいるわね。

40年以上前に国内向けにつくられた曲が、世界中の再生リストに入っている。改めて並べてみると、なかなかエモな出来事です。

この現象は「シティポップの世界的再評価」として語られています。この記事では、それらの国内楽曲の人気の理由をデザイン視点で語ります。

そもそもシティポップとは何を指すのか

a man standing next to a sign

シティ・ポップは、1970年代後半から1980年代にかけて日本で制作された、欧米の音楽の影響を受けた都会的なポップスを広く指す呼び名です。ソウル、ディスコ、ロック、ジャズ、フュージョン、さらにはボサノヴァまで、含まれる音楽の幅がとても広く、決まったサウンドの型を持っていません

ねここ
ねここ

言葉自体は1970年代から使われていたって話もある。

1976年に海外アーティストのアルバム宣伝で用いられ、1977年7月には音楽雑誌『レコード芸術』が吉田美奈子や山下達郎らを「シティ・ポップス」の音楽家として紹介しています。ただし当時これは明確なジャンル区分ではなく、現在の意味で定着したのは2000年代以降の再評価を通じてのことでした。

筆者
筆者

個人的には、シティポップは音の様式というより、ジャンルの総称のようなものと捉えています。定義が広い分、人によって思い浮かべる範囲が違う。

ねここ
ねここ

ほんとだ。Wikiにも「シティ・ポップの代表的な表象「都市と海辺」」って書いてるわ。

世界に広がるまでの経緯

再評価は一夜にして起きたわけではなく、いくつかの段階を経ています。

【リバイバルトレンド】年表としてまとめると?

時期出来事
2010年代前半ヴェイパーウェイヴの作り手が日本の80年代盤をサンプリング
2016年Night Tempoが「プラスティック・ラブ」のリミックスを公開
2017年頃〜「プラスティック・ラブ」がYouTubeのレコメンドで世界に拡散(2021年7月の削除までに約7,000万回再生)
2020年12月「真夜中のドア〜Stay With Me」がSpotifyグローバルバイラルチャートで18日間連続1位
2022年1月ザ・ウィークエンド「Out of Time」が亜蘭知子をサンプリング、Billboard Hot 100で32位
2026年7月「真夜中のドア〜Stay With Me」のSpotify累計再生が5億回を突破

第1段階|ヴェイパーウェイヴによる発掘(2010年代前半)

最初のきっかけは、インターネット発の音楽ジャンルでした。ヴェイパーウェイヴと呼ばれる音楽の作り手たちが、80年代の大量消費社会のムードを持つ素材を探すなかで、日本のレコードにたどり着きます。曲をサンプリングし、加工して発表する。それを聴いたリスナーが、元ネタは何かと逆にたどっていく。

ねねこ
ねねこ

ヴェイパーウェイヴは一種の哀愁というか、原点回帰というか。こうして動画で振り返ることができるのが嬉しい。

第2段階|アルゴリズムによる拡散(2017〜2018年)

この時期に、韓国出身のプロデューサーNight Tempoが2016年にYouTubeへ投稿した竹内まりや「プラスティック・ラブ」のリミックスも、大きな役割を果たしたと言われています。

この曲は1984年のアルバム『VARIETY』に収録された一曲です。

「プラスティック・ラブ」がYouTubeで拡散した正確な経緯は、はっきりとしません。しかし、以前から非公式のリミックス動画がいくつも投稿されており、聴いた人が元ネタを辿る流れは昔からあったハズ。

ねここ
ねここ

いかにもなアニメ調と名曲のマッシュアップ、この組み合わせもリスナーの好みを分かってる感じ。

世界中の何千万人という人が、この曲を聴くと同時に、80年代のグラフィックを「見て」いました。レコードジャケと同じ原理で、動画であっても音楽と画像が、切り離せない一組として配信されたわけです。

第3段階|TikTokと本格的なチャートイン(2020年以降)

2020年、松原みきの「真夜中のドア〜Stay With Me」が再注目されます。インドネシアの歌手Rainychによるカバーや、TikTok動画でのBGM使用などが重なり、2020年12月10日から27日までの18日間、Spotifyのグローバルバイラルチャートで連続1位を記録しました。Apple Musicでも92か国のJ-POPランキングでトップ10入りしています。

さらに2022年1月、ザ・ウィークエンドがアルバム『Dawn FM』収録の「Out of Time」で、亜蘭知子の「Midnight Pretenders」(1983年5月28日発売、作曲は織田哲郎)をサンプリングしました。この曲はBillboard Hot 100で32位を記録しています。

海外のトップアーティストが引用元として選ぶ世界線になったことで、再評価は一過性の話題を超えた楽曲の再来になりました。

ねねこ
ねねこ

ヴェイパーウェイヴにアルゴリズムにTikTok…経路が多すぎるわね。

ねここ
ねここ

だな。レコードのビジュですでに親しまれてたものが、動画でMVまで見られるってなると、国内のど真ん中世代も歓喜よな。

デザイン|ジャケットの妙。

Rows of vinyl record albums displayed on wooden shelves in a music store
Vintage street scene with cinema and double-decker bus

シティポップのジャケットには、共通するデザインの特徴があるようです。

筆者
筆者

言語化が難しいですが、筆者は漫画の「ハートカクテル」のイメージ。「海・ハイカラ・ナウい」的な。

2022年に開催された展覧会「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」では、330枚のレコードジャケットが「Ocean Breeze」「City Lights」「City Pop Color」といったテーマに分類されて展示されました。絵柄だけで分類が成立するという事実が、この視覚言語の強さを物語っています。

永井博|影を持たない光

永井博は1947年徳島市生まれ。グラフィックデザイナーを経て、1976年からイラストレーターとして活動しています。

大瀧詠一のアルバム『A LONG VACATION』(1981年3月21日発売)のジャケットは、その代表作です。

筆者
筆者

興味深いことに、この絵の源流にあたる画集『A LONG VACATION artbook』はアルバムより前、1979年7月25日にCBS・ソニー出版から刊行されていました。絵が先にあり、そこからアルバムのイメージが立ち上がったとか、なんとか。

永井の画面を造形として見ると、こちらのデザインにもいくつかの特徴が見てとれます。

  • 色面が平らで、グラデーションが極端に少ない。空も、水も、壁も、一定の面として塗られている
  • 影がほとんど落ちていない。太陽が真上にあるような、時間の止まった光
  • 人がいない、あるいはごく小さい。主役は風景そのもの
  • 水平線と垂直線が支配的。プールの縁、建物の稜線、水面。画面が幾何学で構成されている
  • 色数が少ない。空色、白、朱、深緑。多くの絵がこの数色で成立している

結果として生まれたのが、記憶の中の風景のような画面です。実在の場所を描いているようでいて、どこにも属していない。時間も湿度も持たない理想の景色。そんな魅力がこの絵にはあります。

鈴木英人|輪郭線が支える質感

同じ都会的な明るさを描きながら、鈴木英人の画面はまったく別の原理で動いています。

鈴木が初めてレコードジャケットを手がけたのは、山下達郎の『FOR YOU』(1982年1月21日発売)でした。山下が『年鑑日本のイラストレーション』で作品を見て依頼したと本人が語っています。指示は「好きに描いてください」の一言だけだったそうです。

鈴木の画法の特徴は、輪郭線の使い方にあります。

  • 色の領域ごとに繊細な線で縁取りがなされている
  • その線が、影や車体の反射といった質感を担っている
  • 色は透明感のある発色で、線の内側を満たしていく
  • モチーフは西海岸的な風景。オープンカー、ネオンサイン、ヤシの木
  • 永井が面で構成するのに対し、鈴木は線で構成します。永井の画面が静止しているのに対し、鈴木の画面には光の反射と動きがあります。同じ「シティポップらしさ」の内側に、二つの異なる設計思想が並んでいるわけです。

この違いを知っておくと、ジャケットを見た瞬間にどちらの系譜かが判別できるようになります。面か、線か。影がないか、あるか。ここが分かれ目です。

共通する色の構造

数多くのジャケットを並べると、色にも規則性が見えてきます。

役割よく使われる色画面での働き
背景空色、ターコイズ、藍面積の大半を占め、全体の印象を決める
抜き白、クリーム建物、パラソル、雲。画面に呼吸をつくる
差し色朱赤、ショッキングピンク一点だけ置かれて視線を集める
陰の側深緑、紫紺夕景・夜景で背景と入れ替わる

面白いのは、この配色が印刷物として最適化されている点です。青と白の面積が広く、差し色が一点。この構成は、レコード店で30センチ四方の板として並んだとき、遠くからでも識別できます。

上記の色味で生成した「プールサイド、海沿いのハイウェイ、ヤシの木」の風景

そしてこの特徴的なスタイルは、40年後の今でも刺さる。面が広く色数の少ないジャケットは、キャッチーで目に留まりやすいのです。

筆者
筆者

レコードジャケがほぼ正方形であることも、かえって今っぽい。当時のレコード棚に向けた設計が、そのままモバイル画面のUIに反映されることに私たちは慣れていますよね。

ねここ
ねここ

ま、音楽はいつだってスクエア型だったわけだが。Spotifyとかの音楽アプリが、ジャケ写をずっと映してるだけあるよな。

ねねこ
ねねこ

永井さんと鈴木さん、同じ空気なのに作り方が正反対なのが面白いわね。

書体|欧文が主役で、日本語が図形になる

Rows of vinyl record albums displayed on wooden shelves in a music store

当時のシティポップのジャケットは、アルバムタイトルもアーティスト名も欧文表記が主流でした。細身のセリフ体や、幾何学的なサンセリフ体などなど。文字がビジュアルを邪魔しないよう、驚くほど控えめに扱われているものが多く見られます。

再評価を担ったヴェイパーウェイヴのビジュアルでは、日本語のカタカナや漢字が、意味を離れた図形として使われるようになりました。初期3Dのワイヤーグリッド、古代彫刻、VHSのノイズ、そこに日本語がコラージュされる。紫・水色・ピンクを基調にしたネオンカラーが画面を覆います。

筆者
筆者

曲線と直線の混ざったカタカナは、グラフィック要素として非常に使いやすい素材なんですね。

ねここ
ねここ

The WeekendのMVとか?

これは、デザインの世界ではよく起こる現象です。意味から切り離された文字は、装飾として強い力を持つ。構造としては、日本のデザイナーが欧文書体をムードのために使うのと同じ。文字の持つ意味よりも、圧倒的にグラフィック要素の方が強いのです。

まとめ|ジャケとセットで世界に進出した音楽たち

🐱本日のまとめ
  • 音楽の側には、ヴェイパーウェイヴによる発掘がある
    YouTubeのレコメンドという増幅装置と、TikTokという拡散路によりリバイバル熱が加速
    欧米の音楽を吸収しながら日本語で再解釈したサウンドそのものに、国境を越える普遍性があった
    ジャケットによる「エモい」の共有、原点回帰の流れ

もしシティポップに惹かれているのなら、ジャケットも一緒に味わいたい。そこには、40年前の日本のイラストレーターたちの作品や、当時のスタイリッシュな空気感がそのままの形で残っています。音を楽しむ理由が、またひとつ増えるはずです。

お読みいただきありがとうございました!

ABOUT ME
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キュレーター
よいものを見つけたら飛びつく猫🐱 デザイナーをしながら、ずっとキュレーターという仕事に憧れていた。アナログガジェット、クリエイターツール、フリーランスの仕事術。自分らしく生きたい人に向けて執筆中。
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